ESG投資

【儲かるの?】ESG投資とは?簡単に分かりやすくメリット・デメリット・リターン・パフォーマンスも解説

ESG投資とは?リターン・メリット・デメリットも解説

環境保護や社会福祉といった方面に関心があり、投資に興味がある人は「ESG投資」という言葉を目にする機会が多いのではないでしょうか。

世界中の投資家が注目するESG投資とはどんな投資手法で、どんなメリット・デメリットがあるかを解説します。

この記事でわかること
  1. ESG投資とは何?
  2. ESG投資のメリット・デメリット
  3. ESG投資の始め方
結論

ESG投資要素
画像引用:GPIFより

ESG投資とは、環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に力を入れる企業に対する投資を指します。

世界的に注目されている投資手法であり、欧米では投資残高の半分近くを占め、日本でも徐々に割合を増やしています。

ESG投資は長期的で安定した投資に向いている反面、短期的で爆発的なリターンが期待できず、投資先の選定に手間がかかるという特徴があります。

ESG投資を始めるなら、ESG評価の高いる投資信託や企業の株式投資、社会的貢献度の高い小口ファンドへの投資から始めると良いでしょう。

ESG投資とは?

現在世界中の投資家が重視しているというESG投資とは、どのような投資手法なのでしょうか。

環境、社会、企業統治への配慮を重視

ESG投資画像引用:大和証券

ESG投資とは、環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)への配慮を重視し、そこに力を入れている企業に対して行う投資のことです。

各企業はこのESG分野に対してどれだけ力を入れているか格付け評価されており、評価の高い企業は事業の社会的な意義や、企業の成長持続性の高さを評価される傾向があります。

投資残高におけるESG投資の割合の増加と背景

ESG投資画像引用:GSIA 2018 Global Sustainable Investment Review

2015年に採択された「パリ協定」は、平均気温上昇の抑制、温室効果ガスの削減を目指す国際的な協定です。

このパリ協定の採択以来、ESG投資は環境問題や社会貢献に対して関心が強い欧米の投資家を中心に浸透しており、年々投資残高は拡大を続けています。

2018年においては、ヨーロッパにおける投資残高全体の48.8%がESG投資で占められており、オーストラリア・ニュージーランドに至っては63.2%と、実に3分の2近くがESG投資となっています。

ESG投資の日本での取り組みとリターンは

日本でのESG投資に対する取り組みは欧米に比べ遅く、2016年ではわずか3.4%に過ぎませんでした。

しかし世界的な関心の高さに影響を受け、2018年には18.3%まで大幅な飛躍を見せており、今なお拡大の一途をたどっています。

その動きの一部として、巨額の投資額を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のアクティブ投資先にESG投資が選ばれており、安定した投資成績を上げることを期待されているのです。

ただし、ESG投資については、単純な儲け・リターンだけを追求するものではないことを把握しておくことが必要です。

画像引用:GPIFよりESG-GPIF

GPIFは2017年10月、投資原則を改めました。
株式にとどまらず、債券など全ての資産でESGの要素を考慮した投資を進めていきます。

さらに、2018年からは「ESG活動報告」の発行を始めました。ESG投資の効果が現れるまでには長い時間がかかります。また、GPIFのESG投資は、資本市場全体を幅広く保有し、長期にわたって投資をするというGPIFの特性から、市場全体の持続可能性向上を目指しています。

したがって、GPIFのESG投資は、短期的にどれだけ投資収益が上がったのかという尺度とは異なる視点が必要です。

「ESG活動報告」では、企業のESGへの取組みが強化されているか、また、それに対する第三者の評価が向上しているかなど、さまざまな視点から分析を試みています。

儲けだけを追求するのはESG投資ではないという事です。

ただ、投資でありボランティアではないので、リターンとのバランスは注意してみていかねばなりません。

ESG投資をして大損するリターンを引いてしまっては本末転倒です。

EGSに対する企業のさまざまな取り組み

ESG投資に対する世間の関心が大きくなるにつれ、企業はEGSに対するさまざまな取り組みを行うようになりました。

プラスティック系の消耗品から、環境にやさしい紙製のものに変えたりという飲食店の例は、ESGとは何なのかを、目に見て理解できる良い事例ですね。

ESG投資とSDGs(17のゴール)との関係性

SDGs画像引用:国際連合広報センター

それぞれの企業がESGに対してどれだけ力を入れているかを評価する基準のひとつに「SDGs」があります。
(「Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標」)

SDGsの17の目標は下記の通りです。

No. 目標 内容・概要
1 『貧困をなくそう』 あらゆる貧困をあらゆる場所でなくす。貧困層・脆弱層に対しての十分な保護を達成。
2 『飢餓をゼロに』 飢餓に終止符をうち、あらゆる層に十分な食料が確保されること、栄養状態の改善を達成、持続可能な農業・食料生産システムを確保
3 『すべての人に健康と福祉を』 世界中あらゆる人々の健康な生活を、その年齢に関わらず確保し、精神保険および福祉を促進する
4 『質の高い教育をみんなに』 全ての人に平等・公平で包括的な教育が提供されることを実現し、生涯学習の機会を促進する
5 『ジェンダー平等を実現しよう』 あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、有害な慣習を撤廃する
6 『安全な水とトイレを世界中に』 全ての人にきれいで安全な水と衛生環境へのアクセスを実現し、持続的な管理や、水に関する生態系の保護や回復を実現
7 『エネルギーをみんなにそしてクリーンに』 全ての人に現代的かつ持続可能なエネルギーサービスの供給体制を実現、再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大
8 『働きがいも経済成長も』 働き方の多様化や技術向上・イノベーションの実現、児童労働を撲滅、いわゆるニートの若者を大幅に減らし、働き甲斐のある安心・安全な労働環境を提供
9 『産業と技術革新の基盤をつくろう』 資源利用効率向上およびクリーン技術及び環境に配慮し、インフラ改良や産業改善を実現する。全ての国は各国の能力に応じて取組を強化。
10 『人や国の不平等をなくそう』 全ての国の年齢・性別・宗教・民族・人種・障害などに関わりなく、特に開発の後発途上国と先進国との格差の是正
11 『住み続けられるまちづくりを』 包摂的かつ持続可能な都市化を実現。文化遺産の保全や、防災の実現、移住の自由や安全な輸送システムの実現・管理
12 『つくる責任つかう責任』 食糧廃棄の半減や、収穫後のサプライチェーン強化による食品ロスの減少を実現する。開発途上国に対して、持続可能な生産・消費形態構築のために技術支援
13 『気候変動に具体的な対策を』 気候変動・自然災害への強靭性(レジリエンス)を高め、国別の戦略・政策に盛り込む
14 『海の豊かさを守ろう』 海洋及び沿岸の生態系回復のための取り組みを行い、海洋資源の保全と持続的な管理を実現する
15 『陸の豊かさも守ろう』 森林・土壌・山地などすべての環境の回復・保全を実現し、生物生態系の絶滅危惧種の保護を行う。
16 『平和と公正をすべての人に』 暴力の減少や子供への虐待撲滅を実現し、国際レベルで法の支配を促進させ、全ての人に司法へのアクセスを提供する
17 『パートナーシップで目標を達成しよう』 開発途上国への国際的な支援を実施し、持続的な開発のためのグローバルパートナーシップを実現する(資金・技術・貿易・体制・データモニタリング等)

「SDGs」とは?

持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

引用:外務省より

SDGsの大きな特徴は、世界全体が抱えている課題の解決に企業が積極的に関わることを求められていることです。

またESG投資の要である、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)には具体的な評価項目が設けられていません。

そのため、SDGsが世界共通の目標である現代では、企業のSDGsへの取り組みが、ESGを評価するひとつの指標となるといえるのです。

画像引用:GPIFよりESG投資とSDGsの関係

ESG投資のメリット・デメリット

ESG投資は数ある投資先の一つであり、他の投資先にはないメリットがある反面、デメリットも存在します。

ESG投資のメリット

ESG投資ESGの評価が高い企業は、社会情勢や自然環境に対する変化に強いとされており、長期的な運用に向いているとされています。

また事業への取り組みが長期的になる企業が多いため、資産価値の変動は少なく、安定した運用が期待できるという特徴があります。

ESG評価の高さは社会貢献度の高さに直結しており、投資を通じて社会貢献に寄与することもできます。

環境や人権問題だけでなく、労働環境の改善や女性の待遇改善といった企業風土への取り組みも積極的であるため、企業としての安定度も高い投資先になるでしょう。

ESG投資のメリット

長期的な運用に向いている
安定した運用が期待できる
投資を通じて社会貢献できる

 

ESG投資のデメリット

ESG投資長期的な事業に取り組み、安定した収益を上げる事が期待できる反面、一般的には短期的で爆発的なリターンは期待できないと考えられています。

またESG投資は企業の財務状態や経営成績だけでなく、ESGに対する評価も参考にする必要があります。

ESG評価を行う投資会社もあり、その情報を参考にすれば負担は小さく済みますが、個人でESG評価を行うつもりならば、その労力は非常に大きなものになるでしょう。

ESG投資のデメリット

短期的なリターンは期待できない
投資の際はESG評価も参考にしなければならない
個人が企業のESG評価を行うには大きな労力を必要とする

ESG投資の簡単なはじめ方

環境、社会、企業統治の面で優秀な企業に投資できるESG投資は、長期的な投資先として非常に魅力的です。

実際にESG投資をはじめたくなったなら、次のような投資方法を選択できます。

ESG投資信託へ投資

ESG投資最も簡単なESG投資の方法は、ESG投資に分類される投資信託商品を購入することでしょう。

それぞれの銀行や運用会社が独自に企業のESGへの取り組みを評価し、投資信託の商品を構成しています。

商品によっては日本企業対象、海外企業対象、先進技術への取り組みを重視など、商品構成も様々ですので、目論見書を参考にどんな企業が投資先なのかを確認してみるとよいでしょう。

ESGの評価が高い投資先へ株式投資

銀行や運用会社の評価を元にして、ESG評価の高い企業の株式を直接購入する方法もあります。

その企業の取り組みを確認した上で投資できるため、投資家自身が望む社会貢献に直結した投資を行える点は大きな魅力です。

環境・社会への貢献を目指す小口ファンドへクラウドファンディング投資

株式投資や投資信託ではない形が好みなら、環境・社会への貢献を目指す小口のファンドへクラウドファンディング投資する方法もあります。

教育への貢献を目指すファンドや空き家再生案件など、規模は小さくても社会的に意義のあるESGの観点において優れた事業に投資することで、他ではできない社会貢献を目指すことができるでしょう。

比較的短期での投資が出来る上、少額から投資できるという点も魅力の一つです。

ESG指数を参考に自分で投資先を選定

上級者向けのESG投資は、ESG指数を参考に自分で投資先を選定することです。

代表的な手法には、ESGの評価が高い企業に積極的な投資を行う「ポジティブ・スクリーニング」と、反社会的活動や環境破壊につながる企業を投資先から外す「ネガティブ・スクリーニング」があります。

自分で投資先を選定するためには十分な調査と、選定のための豊富な情報が必要です。

とはいえ、まずは、ESG投資を考えたい方の「はじめの一歩」には、ESGへの取り組みが評価された企業によって商品が構成されている【ESG投資信託】がおすすめですね!

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