新技術

Googleのスマートシティ!子会社サイドウォークラボの「近未来都市化」ビジネスモデル

Googleスマートシティ:トロントのIDEAとは

情報管理により、環境に配慮した街作りを目指す「スマートシティ」は、世界各国で様々な形の街が生み出されています。

街ごとに様々な目的やコンセプトが盛り込まれていますが、現在計画が進行しているスマートシティの中で最も注目されている街が、Googleが手がけるスマートシティ「IDEA(Innovative Development and Economic Activation)」です。

(SideWalk提供:Cnet記事より引用)IDEAイメージインターネットの世界を支配するGoogleによるスマートシティは、どのような街を目指すのでしょうか。

この記事でわかること
  1. Googleが手がけるスマートシティ「IDEA」」について
  2. IDEAの中核をなす交通改革「MaaS」とは
  3. スマートシティIDEAが抱える問題
Googleが目指すスマートシティとは?サマリー

Googleの兄弟企業であるSidewalk Labsは、カナダの首都・トロントにおける新たなスマートシティ「IDEA」の開発を発表しました。

取得された様々なデータにより快適な生活に向けた調整が行われるIDEAは、公共機関を活用する最適な移動を実現する「MaaS」の実現を中核としています。

移動が最適化され自家用車の使用が減ることにより、環境保護と住民のストレスフリーの両立が実現することが期待されています。

しかしIDEAによる様々な情報の取得がプライバシーの侵害に当たるのではという、住民からの根強い反対が続いています。

Sidewalk Labsはデータの販売や広告利用はしないと宣言していますが、住民の完全な理解は得られておらず、開発地域を拡大出来ない状態が続いています。

Googleが手がけるスマートシティプロジェクト「IDEA」

世界最大のインターネット企業の一つ・Googleが手がけるスマートシティとは、どのような構想の街なのでしょうか。

Googleの兄弟会社「サイドウォークラボ」によるトロント州スマートシティ

google スマートシティ IDEA画像引用:Sidewalk Labs

Googleの持ち株会社であるAlphabet(アルファベット)の傘下にある都市イノベーション企業・Sidewalk Labs(サイドウォーク・ラボ)は2017年10月、カナダの首都・トロントのウォーターフロント地区の再開発プロジェクトを発表しました。

このプロジェクトは未来都市を構想した計画となっており、二酸化炭素の排出と吸収のバランスをとった「カーボンニュートラル木材」を使用した建築物で構成されます。

その後、具体構想が2019年6月に提案され、その際のCBS NEWSニュース報道がイメージ付きやすいです。

トロントの強い日光を防ぐ日よけにより守られた街は、幅広い年代・所得者層に開放され、様々な価値観が混在する街となるでしょう。

街中にある多くのセンサーにより様々なデータを取得し、巨大なデータを元に街の最適化が進められる、まさに「Google化した都市」の実現を目指しています。

カナダ・トロントでの再開発プロジェクト名は「IDEA」

google スマートシティ IDEA画像引用:Sidewalk Labs

このプロジェクトにより手がけられる街は、「Innovative Development and Economic Acceleration(革新的開発と経済促進)」の頭文字を取られ「IDEA」と命名されました。

IDEAはいくつものエリアに分けられ、現在は革新的な技術が盛り込まれたエリア「Quayside(キーサイド)」の開発計画が進んでいます。

『これは、Sidewalk Labsによって開発された「ビルディングレインコート」です。これは、キーサイドの「スマートシティ」のために提案されたコンセプトの1つです。風と雨をふさぐので、一年中屋外カフェなどができます。』
↓Tweet原文

『Sidewalk LabsのQuayside(キーサイド)計画、超刺激的』

また2019年6月に開発が発表されたエリア「Villiers West(ビリヤーズウェスト)」にはGoogleの新カナダ本社が置かれる予定であり、Alphabet(アルファベット)グループにとってカナダにおける最重要エリアの一つとなるでしょう。

これらのエリアの開発は2020年から本格化することが予定されています。

公共機関による交通改革「MaaS」が中心

IDEAにおけるIoTの活用は、MaaSを中心に行われることが発表されています。

MaaSとは「Mobility as a Service」の頭文字を取った略語であり「サービスの移動」という意味を持っています。

「MaaS」とは?

MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイ
カー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ
新たな「移動」の概念である。

引用:国土交通省より

 

自家用車に頼らない交通の最適化

google スマートシティ IDEA画像引用:Sidewalk Labs

MaaSは、公共交通機関を活用した最適な移動の実現により、温暖化ガス排出量の低減や交通コストの削減を目指しています。

各国では自家用車の増加による有害ガスの排出が社会問題化していますが、自家用車なしでは移動が困難な地域も多く存在します。

MaaSは交通機関の充実と、シェアサイクル・カーシェアなども含む多種多様な交通手段を利用し、自家用車の使用に頼らない交通の最適化を目標としています。

目玉は交通費用の定額化

MaaS導入による交通の変化の目玉は、交通費用の定額化にあるといえるでしょう。

現在MaaSの活用が進められているフィンランドでは、一定の月額料金を支払うことでバス・電車・フェリーなどの公共交通機関に加え、レンタカーやシェアサイクルといった民間の交通手段も使い放題になるサービスを導入しています。

台湾もまた、MaaSを活用した公共交通機関の活用を進めています。
長距離バスやフェリーによる移動が多い台湾ならではの使い方として、長距離バスやフェリーが使いやすくなる料金プランを用意し、MaaSの普及に力をいれています。

MaaSによる移動手段の一元化は、交通手段を選びやすくなるというユーザー側のメリットだけではありません。

地方のバスや小規模なシェアサイクルなど、それ単体では維持しにくい交通手段の救済にもつながる業者側のメリットも大きく、MaaSの活用が広がればさらなる公共交通機関の拡充も期待できます。

 

Googleが目指すスマートシティ計画の課題

小説などで語られてきた「未来の生活」を実現するスマートシティ計画は、まさに夢の街を作るプロジェクトといえます。

しかしIDEAの開発計画には大きな懸念点が残されており、まだその問題は解決していません。

収集されたデータの使われ方

google スマートシティ IDEA画像引用:Sidewalk Labs

Sidewalk Labsのグループ会社であるGoogleは、世界最大の広告事業を営む巨大な情報企業です。

そのGoogleが手にできる様々な街の情報がどのように使われるか、プライバシーが保護されるのかといった懸念の声が、トロント地方の住民から上がっています。

デザインはステキなのですが、やはり「データ」に関する心配事が課題ですね。

Sidewalk Labsは、IDEAの開発エリア拡大を進めたいという意思を持っていますが、この住民に反対により拡大の計画は難航しており、現時点ではQuayside(キーサイド)エリアの開発にとどまっている状態です。

5月にも開発するSideWalkラボからの提案予定があるものの、批判的な見方もあります。

また、『Block SideWalk(サイドウォークラボをブロックしろ)』会の代表からは、「”No”というオプションがあることを皆に忘れないように思い出させることが我々の仕事だ」といったメッセージも発信されていますね。

なお、Sidewalk Labsは収集したデータは外部のデータ信託機関による管理を行うとし、管理の安全性を主張しています。

また、このデータはユーザーの同意なしに販売や広告利用は行わなず、匿名化の実施およびクラウドでの管理をしないことで、さらなる安全性の確保にも力を入れるという考えを示しています。

サイドウォークラボに対するネット上の声は?

『ウォーターフロントトロントはカナダにおけるGoogleの事実上の開発部門である』

『緑の楽園かデータを盗むディストピアか?』

  • 永久監視
  • 大規模なデータスクレイピング(データを盗むこと)
  • 都市の民営化
  • Googleがすべてのデータを手にする

『Sidewalk Labsの技術に対しては大げさに怖がりすぎだよ』(風刺画セリフ)

『SideWalk ラボの計画は面白く、包括的で、将来を見据えていると思う。トロントの事をやるのはやめて、すぐにこの計画を肯定して理解することにつとめようぜ!めっちゃチャンスじゃん!』

賛否両論あるようですが、引き続きGoogleの動きには注目ですね。

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