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自動運転×ディープラーニングの仕組みとは?AIのレベルとメリット・デメリットについて解説

自動運転とAIディープラーニング

人間が運転しなくても自動車が走行する自動運転は、段階的ではありますが実用化に向けて開発が進められています。

自動運転を行うために欠かせない要素は、AI(人工知能)そしてディープラーニングです。

AIディープラーニングと自動運転のイメージ今回は自動運転とAI、ディープラーニングの関係についてご紹介します。

この記事でわかること
  1. AIが与えられた情報から自らの方針まで決定するのがディープラーニング
  2. 自動運転の実現には高度な知能を持ったAIが必要
  3. AIによる自動運転には利点も多いが、解決しなければいけない課題もある
まとめ

ディープラーニングとは、AIが行える学習のレベルを示す言葉です。
この段階のAIは、人間から与えられた膨大な情報から何を目的に学習するかの方針までAI自身が決めることができます。

人間の運転を必要としない自動運転にもディープラーニングは必要不可欠であり、様々な情報から最適な運転を学習し続けています。

AIによる自動運転は、カメラやセンサーから得られる情報から人間よりも優れた危機察知を行えるなど、事故や交通トラブルを減らす可能性を秘めています。

しかし「トロッコ問題」で語られるような、事故が起きた時に何を犠牲にするのかというような人道的な問題には人間が答えを出さねばならず、将来広がるであろう自動運転の普及に向けた一つの課題となっています。

AIや自動運転を駆使したスマートシティ構想については、別記事にしていますのでご参考まで。

【関連記事】新しいモビリティ社会「MaaS」とは?スマートシティとの関連性もわかりやすく解説

ブロックチェーンと自動運転の関係性についても別記事にまとめています。

【関連記事】自動運転にブロックチェーンはどのように活用するのか?5Gが必要な理由も解説

ディープラーニングとは?

ディープラーニングは、AIが行える学習のレベルを表す言葉であり、AIがどのように学習するかを示しています。

段階的により深く学習する機械学習

AI 自動運転
AIの能力にはいくつかの段階があり、一定以上のレベルを超えると、AIは自ら学習ができるようになります。

ただしAIが自ら学習をするためには、人間がAIに対して「何に注目して勉強するか」の条件を事前に与えておかなければなりません。

AIが与えられた条件に従い、データを収集して分析する学習方法を「機械学習」と呼びます。

ディープラーニング(深層学習)は、機械学習をさらに深めた学習方法です。

機械学習ではどんな方針で学習するかを人間が指定する必要がありますが、ディープラーニングでは、AI自身が分析したデータの中から学習方針を構成できるようになります

  • AIは一定のレベルを超えると自ら学習ができるようになる
  • 「機械学習」とは与えられた条件を元にAIがデータを収集して分析する学習方法のこと
  • 「ディープラーニング」は機械学習をさらに深めた学習方法である

ディープラーニングの成功例

日本国内では、すでに多くの企業がディープラーニングを取り入れており、様々なジャンルで成果を上げています。

みずほ銀行:住宅ローン事前診断サービスを開始!

住宅ローンのイメージみずほ銀行は2020年3月23日、AIによる「住宅ローン事前診断サービス」を開始すると発表しました!

インターネットから融資判断に必要な情報を入力すると、最短1分で希望する金額を借りられるか確認できるようになります。

このサービスはみずほ銀行に口座がなくても利用できるので、住宅ローンの計画を立てる際に役立ちそうですね!

みずほ証券:株式売買システムの開発・提供

AIによる株式売買のイメージみずほ証券は2016年11月にAIを搭載した株式売買システムを開発し、投資家向けに提供を始めました。

過去の値動きから株価を予測する「テクニカル」を用いた株価の予測を行い、個別銘柄ごとに30分から1時間後に上昇・下落するかを予測しています。

みずほ銀行とソフトバンク:AIスコアレンディング(J.Score)


簡単な質問にこたえることで、AIによる査定を行い低金利の貸付を受けられるサービスであるJ.Scoreをみずほ銀行とソフトバンクで開発しています。

申し込み前に、自身の借り入れ可能額と金利を知ることができるので、計画的な返済プランをたてることができますね。

クエリーアイ:AIが小説を執筆

AI小説家のイメージ機械学習と人工知能をつかったマーケティングサービスを提供しているクエリーアイでは、新渡戸稲造の「自警録」を学んだAIに小説を執筆させるという試みを行っています。

「賢人降臨」と題された作品は、一部文法の乱れは発生したようですが、十分鑑賞に耐えられる文章となっているといいます。

AIが小説を執筆できるようになったとは驚きです。

現在はドコモの「dブック」でも配信が停止していますが、どのような内容の小説なのか非常に気になりますね!

自動運転を実現するディープラーニング

AIが独自に学習を行うディープラーニングは、今後実現が見込まれる自動運転にも深く関わっています。

AIのレベルと自動運転の仕組み・関係性

AI 自動運転画像引用:チューリッヒ

AIの能力には4つのレベルがあり、どこまで考え行動できるかが定められています。

AIは能力によって4つのレベルに分けられます。

  • レベル1:単純制御
  • レベル2:単純な人工知能
  • レベル3:機械学習
  • レベル4:ディープラーニング

レベル1(単純制御)

AI冷蔵庫レベル1は単純制御と呼ばれ、指示をそのまま行う簡単なものです。

ある程度まで冷えたら温度を変える冷蔵庫や、タイマー設定で電源を切るエアコンなどはこれに該当します。

レベル2(単純な人工知能)

レベル2は単純な人工知能であり、ルールを理解してレベル1よりも複雑な行動を行う事が出来ます

部屋の状況から最適な掃除をするお掃除ロボ、指定した難易度の強さでかんたんな対局を行う将棋ゲームなどが該当します。

ただし指示されたことを行うという点ではレベル1と変わらず、自ら学習することはできません。

レベル3(機械学習)

機械学習レベル3レベル3は機械学習が出来るようになります

人間から与えられた一定のルールを持つ大量のデータを処理・分析し、自らパターンを学習していきます。

私たちが普段使う検索エンジンも機械学習を用いたAIにより、様々な入力パターンを学習し、成長しています。

レベル4(ディープラーニング)

ディープラーニングのイメージレベル4はディープラーニングと呼ばれる、より複雑で深い機械学習が可能となります

不作為に与えられた膨大なデータから、AI自身が何を目的に学ぶかというルールを作り上げ、それに従った学習を進める事が出来ます。

チェスや囲碁の世界王者にAIが勝利するというニュースがありましたが、これは大量の対局データからAIが戦い方を学習した結果です。

自動運転はレベル3から

自動車が一定のルールに基づき、周囲の環境のデータを収集・分析しながら走行する自動運転は、まさにAIによる学習が必要といえます。

刻一刻と変化する道路状況から最適な走行を判断し続けるには、自ら周囲の情報を収集し学習するレベル3以上のAIが必要といわれています。

自動運転に関する詳しい内容は、下記の記事でわかりやすく解説しています。

関連記事】自動運転のレベルとは?トヨタやホンダの動向・現在の状況についてわかりやすく解説

AIによる自動運転が抱える希望と問題点。AIに限界はある?

自動運転は、AIの発達により人間では実現できないような高度な運転が出来る反面、解決しなくてはならない問題にも直面しています。

カメラやセンサーによる検知

自動運転のセンサーイメージ自動運転は、カメラやセンサーが周囲の情報を収集し、AIは最適な走行を行います。

カメラで撮影された画像には多くの情報が含まれており、車の陰から伸びる子供の影や周囲に転がるボールから、子供が飛び出してくる可能性を考慮し、不測の事態に備える安全運転に切り替えられます。

人間の目では見落としてしまったり、判断材料にならなかったりする情報も多く存在します。
AIによる分析は、それらの情報も漏らさず収集することができるため、多くの事故を未然に防げると期待されているのです

トヨタでは、AIによる自動運転で交通事故をなくしたいと考えています。

ひびきの電子株式会社では、ドライバーの体調の変化をいち早く察知して事故を防ぐシステムを開発しています。

「トロッコ問題」の壁

一方で、AIによって自動運転する車が事故を起こしてしまう際「何を犠牲にするのか」を考えることは、思考実験の古典として有名な「トロッコ問題」の再燃につながっています。

トロッコ問題のイメージ

「トロッコ問題」とは?

進行するトロッコの先には5人の人間がおり、その5人を避けてポイントを切り替えるとその先には1人の人がいるという問題。

この「Aを犠牲にすればBは助かる」というシチュエーションは、1960年代に論争が生まれて以降多くの議論をもたらしました。

AとBに何を当てはめるか、人によって選び方が違ったりするため、正解や間違いという事では議論が着地していません。

自動運転の車が危険な状況に陥った際、どの選択肢をとっても誰かが犠牲になってしまう状況に陥ることもあるでしょう。

もちろんその状況に陥らないように最善は尽くされますが、その上で誰に犠牲を強いるのかを決めなければなりません。

万人が納得する答えが出ることはないでしょうが、AIにどんな行動を取らせるか、いずれ人間が一定の答えを出さなければならないのです。

自動運転に対する未来への展望例(オリンピックでの採用)

e-palette画像引用:トヨタ公式サイト

自動運転は日々進化をとげ、実用化に向けて開発が進められています。

コロナによる影響で延期が決定してしまいましたが、トヨタは東京オリンピックに自動運転車「e- Palette」を提供すると発表しています。

e- Paletteのイメージ動画↓

水素社会×オリンピックまとめ
【2020年】水素社会とオリンピックの関連性まとめ!聖火台の燃料は水素を採用!?二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーとして水素が注目されています。 延期決定後の2021年7月23日から開催される(予定の)東京...

また、さまざまな自動車メーカーが自動運転が搭載された車を発表しています。

車に乗る人だけでなく、車に乗らない人も安心して過ごせる自動運転車の実現が待ち遠しいですね!

各メーカーの自動運転に関する詳しい情報はこちらの記事をどうぞ!

【関連記事】自動運転のレベルとは?トヨタやホンダの動向・現在の状況についてわかりやすく解説