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自動運転のレベルとは?トヨタやホンダの動向・現在の状況についてわかりやすく解説

自動運転のレベルとは?

ドライバーが運転操作を行わなくても走る自動運転車は、今着々と技術が進歩しています。

人間の手を離れて走る完全自動運転に向け、現在の自動運転技術はどこまで進化しているのでしょうか。

この記事でわかること
  1. 自動運転はサポート範囲によりレベル0~5に分類
  2. ホンダがレベル3の自動運転車を2020年夏に発売
  3. トヨタは東京オリンピックにレベル4車両を提供

自動運転のレベル画像引用:VW公式サイト

自動運転のレベルとは?サマリー

進歩を続ける自動車の自動運転は、サポート範囲によって完全手動のレベル0から、完全自動のレベル5まで段階が区切られています。

現在市販されているのは運転支援車に該当するレベル2までで、3以上は法整備の遅れもあり、市販には至っていません。

昨年12月に行われた交通関連法の改正を受け、ホンダがレベル3自動運転車を今夏販売する予定としています。

トヨタは現時点ではレベル3車両の販売計画は発表していませんが、東京オリンピックの選手村移動用車両として、最大20人が乗車できるレベル4の自動運転車「e- Palette」を提供することを発表しています。

e- Paletteのイメージ動画↓

自動運転の段階はレベル0~5に分類

自動運転はサポートする範囲によりいくつかのレベルに分かれており、ドライバーによる手動運転をレベル0とした場合、レベル5まで段階が設定されています。

レベル1(運転支援)

自動運転レベル1画像引用:JAFサイトより

自動運転に先駆け、ドライバーの運転技術をサポートし、安全な運転を実現するシステムが導入されています。

レベル1では車が車線から外れた際に自動で補正する「ステアリング操作」、自動で先行車との車間距離を一定に保つ「自動スピード調整」のどちらか一方が搭載されます。

レベル1:ステアリング操作か自動スピード調整のどちらかを制御

レベル2(運転の部分的自動化)

自動運転レベル2画像引用:VWサイトより

レベル2になると、レベル1で片方だけ搭載されていたステアリング操作、スピード調整の両方を同時にシステムが操作してくれるようになり、ドライバーの負担は大きく軽減します。

なお、この段階まではドライバーによる運転操作が常時必要であるため、厳密には自動運転ではなく「運転支援技術」と呼ばれます。

レベル2の運転支援技術はすでに多くのメーカーが実装に成功しており、トヨタ、日産、スバルなどの国内メーカー車に搭載されています。

またメルセデスベンツのEクラス以降に搭載されている「インテリジェントドライブ」は、ドライバーの居眠りを検知しての自動停止、ウインカーに反応した自動車線変更など、自動運転に近い技術を実現している車種も存在します。

レベル2:ステアリング操作と自動スピード調整の両方を制御

レベル3:特定の条件で自動運転(緊急時はドライバー手動運転)

自動運転レベル3画像引用:JAF公式サイト

ドライバーの操作が不要となるレベルになると、いよいよ「自動運転」と呼ばれます。

現在実現しているレベル3の自動運転車は、高速道路などの特定の環境においてのみ周囲の状況を察知して自動走行を行い、緊急時のみドライバーの操作を必要とします。

ドイツのアウディは、2017年7月の「アウディサミット」で、市販車としては世界初のレベル3自動運転を搭載した「アウディA8」を発表し、大きな話題となりました。

新型アウディA8発表と試乗の様子↓

しかし現在のところ世界各国の交通法においては、公道での自動運転を認めていないため、残念ながら一般ユーザーが手にできる自動運転車は実現していません。

レベル3:特定の場所では自動運転、緊急時は人が操作

レベル4:特定の条件で自動運転(緊急時も自動運転で制御)

自動運転レベル4画像引用:VW公式サイト

レベル4になるとさらに自動運転のレベルは高まり、緊急時のドライバー操作も不要となります。

特定の条件、エリアの中のみという制限はつきますが、運転から人間の手が離れたレベル4が一般的になれば、いよいよ完全自動運転が目の前にやってくる日が近づいてきたと感じられるでしょう。

レベル4:特定の場所では緊急時でも自動運転

レベル5:公道を完全自動で走ることができる

自動運転レベル5画像引用:JAF公式サイト

レベル5になると、道路状況に関わらず、いかなる場合でもドライバーはハンドルを握る必要がなくなります

乗員全員が運転に関わる必要が無くなるため、車のデザインからハンドルやアクセルといった操作機能を省くことが可能となります。

現時点では研究こそ行われているものの、どのメーカーも市販車レベルには到達しておらず、BMWの「iNEXT」、Audiの「AICON」といったコンセプトカーの発表のみが行われています。

『BMWの未来図 iNext 。最新のBMWエンジニアリングデザイン。 2021年に登場。』

レベル5:道路状況に関わらず完全自動運転

ホンダがレベル3の自動運転車を市販

各国で未だレベル3の自動運転車が公道を走れない中、ホンダが2020年夏頃にレベル3の自動運転車を発売すると発表しました。

ホンダの自動運転デモ動画↓

価格は1,000万円超か

ホンダが実現するレベル3の自動運転は、渋滞時のアクセル・ハンドル操作を不要とするものとなっています。

高速道路における渋滞のように、ドライバーが長時間変化のない状態での緊張を強いられる環境を緩和するものとなり、自動運転作動中はスマホやテレビの視聴・操作も可能となります。

搭載車両はホンダの高級セダン「レジェンド」などの高級車になるとされており、価格は1,000万円を超える可能性があると見られています。

自動運転に合わせた法改正

ホンダがレベル3自動運転車の発売に踏み切る背景には、交通に関する法律の改正が行われたことがあります。

2019年12月に、道路交通法および道路運送車両法の改正が行われました。

改正道路運送車両法では、保安基準対象装置に「自動運行装置」が追加されています。自動運行装置の定義は、

プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)により自動的に自動車を運行させるために必要な、自動車の運行時の状態及び周囲の状況を検知するためのセンサー並びに当該センサーから送信された情報を処理するための電子計算機及びプログラムを主たる構成要素とする装置であつて、当該装置ごとに国土交通大臣が付する条件で使用される場合において、自動車を運行する者の操縦に係る認知、予測、判断及び操作に係る能力の全部を代替する機能を有し、かつ、当該機能の作動状態の確認に必要な情報を記録するための装置を備えるもの

引用:衆議院

となっており、長文で良く分かりませんね(笑)。

要するにドライバーの代わりに認知・予測・判断・操作の全てを代行でき、その情報を記録できるものと定義しています。

また自動運転装置の操作実施に合わせ、道路交通法も改定されています。

改正道路交通法では自動運転装置による車の操作を「運転」の定義に含め、公道における自動運転車の走行が認められました

AI 自動運転また、システムの要求に応えすぐに自動運転装置を操作できる環境にあることに限定し、運転中の携帯電話等の使用を認めています。

ただし、同じタイミングの改正において、運転中に携帯電話の操作などを行う「ながら運転」に対する処罰が厳罰化されています。

自動運転中だから無条件でスマホを操作することが認められているわけではないことは、改めて念頭に置く必要があるでしょう。

トヨタは自動運転レベル4を実験中

ホンダがレベル3の自動運転車発売の動きを見せる中、トヨタはレベル4の自動運転実験を実施しています。

東京オリンピックに自動運転車を提供

e-palette画像引用:トヨタ企業サイト

トヨタは、研究が進むレベル4自動運転車を東京オリンピック2020の提供車両の中に含むことを発表しています。

この提供車両は「e-Palette」と呼ばれており、2019年10月に行われた「第46回 東京モーターショー 2019」において、その詳細が発表されました。

東京モーターショーでの発表の様子↓

e-Paletteは時速19kmで走行する低速自動車であり、最大20名の乗員を乗せる事が出来ます。

同乗するオペレーター1名の運転操作は必要なく、大会期間中には選手村内の巡回バス、大会関係者の移動をサポートする役割を担う予定です。

またトヨタは、2020年3月24日にNTTとの資本提携を発表しました。

トヨタとNTT共同記者会見の様子↓

この資本提携により、トヨタの自動運転技術はさらなる向上が期待されています。

この取り組みは、自動運転だけではなくトヨタが建造を計画している「スマートシティ」にも大きな影響を与えるでしょう。

車に乗る人も乗らない人も、安全で豊かに暮らせる街の実現が今から楽しみですね!

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