IoT(Internet of Things)の技術を使用し、インフラを効率的に管理しながら環境にも配慮した街作りを行う「スマートシティ」。スマートシティは現在、世界中で様々な実験都市が生まれています。
日本でもすでにいくつかの事例が生まれていますが、新たにトヨタが主導するスマートシティが誕生しようとしているのです。
- トヨタが実験都市開発プロジェクト「コネクテッドシティ」を計画
- トヨタとNTTは資本提携を発表し、先行ケースとして、トヨタが静岡県の東富士に「Woven City」を建設、また品川駅前のNTT街区の一部に「スマートシティプラットフォーム」が実装される予定であること
- ウーブン・シティに住めるのは当初2,000人程度から!「住みたい」という声は多いが、残念ながら最初はトヨタ関係者からで一般人は住めない。ただしいずれ募集がある見込み
あらゆるモノやサービスがインターネットで繋がる「コネクテッドシティ」の建造を計画しています。
トヨタが建造を予定しているコネクテッドシティは「ウーブン・シティ」と名付けられ、自動運転やスマートホームなどの様々な先端技術を導入される実験都市として、静岡県裾野市で開発・運用が行われます。
ウーブン・シティは2021年から建造が開始され、5年以内には人が住めるようになる予定とされています。
ウーブン・シティの建造当初はトヨタの関係者やパートナー企業などから約2,000人が居住しますが、徐々に一般入居者の募集も行われる想定であることが豊田章男トヨタ社長の口から発表されています。
トヨタの実験都市開発プロジェクト「コネクテッドシティ」
トヨタ自動車の豊田章男社長は、2020年1月6日(日本時間7日)に開催された国際技術見本市「Consumer Electronics Show(CES)」のプレカンファレンススピーチにおいて、新たなスマートシティ計画を発表しました。
トヨタが主導するプロジェクト「コネクテッドシティ」
画像引用:トヨタ公式サイト
コネクテッドシティは、その名の通り「つながる街」を目指し、あらゆるモノやサービスがインターネットを通じてつながる時代を見据え、そのつながりを実現するための街作りが行われます。
この都市では自動運転、スマートホームといった先端技術の導入、またそれを実現するためのAI(人工知能)の活用により、商品やサービスの開発・実現の速度を速めるという目的を担っています。
CESで発表されたTOYOTAのコネクテッドシティWoven City
TOYOTAが都市スケールで技術を検証する、TOYOTAの本気。
自律走行の道、パーソナルモビリティの道、ゆったり通る道等が盛り込まれる都市。
車単位の戦いではなく、都市単位での戦いに。#CES_MESON pic.twitter.com/QXwNVoYF3c
— チェルシー | AI姉さん (@chelsea_ainee) January 22, 2020
どの事例でもMaaSの発展には実証実験が不可欠なのは明らかなのだけど、社外との協創座組みで「WOVEN CITY」というコネクテッドシティで生産×プロトタイピング×実証実験×中長期の生活拠点計測で構える #TOYOTA すごいなぁ。 #CES2020
— ようこ (@sunny4050) January 6, 2020
電力供給は燃料電池発電
コネクテッドシティは環境問題に対する取り組みも同時に検証され、未来に実現していくであろう生活モデルの確立を目指しています。
電力供給は水素を燃料として発電する燃料電池発電を採用し、二酸化炭素をはじめとする温暖化ガスを排出しない都市運営を目指しています。
トヨタとNTTが資本提携!スマートシティプラットフォームとは
画像出典:トヨタ公式サイトより
2020年3月24日トヨタとNTTが共同で記者会見を行いました。
おおよそ、下記のような構想です。
Woven City に居住する住民、シティ内で経済活動を行う企業、関係する自治体等向け価値提供のセキュアな基盤を準備
- スマートシティのデータマネジメント
- データ収集・蓄積・加工、分析・可視化などの情報流通
サービス利用等のためのインターフェイス機能
- NTTやトヨタの提供するアプリやサービスへのコネクション
- AI活用など
これらに基づくデジタルツイン
- まちづくりシミュレーション
- 実在するまちをリアルタイムに仮想空間で再現し、試行結果をフィードバックする機能など
その周辺機能
- ネットワーク、各種デバイス・ハードウェアとの連携
- 各種サービス・他システム・他プラットフォームとの連携機能 等
今後の都市の広がりで他都市との連携なども準備していくようですね。
これらはすべて人々が「豊かな生活に貢献」することに繋がっていくという構想です。
「コネクテッドシティ」プロジェクトの一環で静岡県裾野市に「Woven City(ウーブン・シティ)」を建造
画像引用:Woven City Global
トヨタが進める実験都市開発プロジェクト「コネクテッドシティ」は、都市名を「ウーブン・シティ(Woven City)」と命名しました。
ウーブン・シティとは「編まれた街」という意味を持ち、道路が網の目のように張り巡らされた都市となることを想定されています。
ウーブン・シティ内を流れる道路は、以下の3種類に分類されます。
- 自動運転車が走行する「高速路」
- 歩行者やパーソナル・モビリティなどスピードの遅い車が共存する「中速路」
- 歩行者専用の「低速路」
都市内の人々がそれぞれの手段、速度で自由に移動することを目標としているのです。
画像引用:d line
都市の設計には、デンマーク出身の建築家であるビャルケ・インゲルス氏を採用しています。
インゲルス氏はニューヨーク第2ワールドトレードセンター、Googleの新本社、レゴミュージアムなど、著名なプロジェクトを多数手がけている新進気鋭の建築家です。
インゲルス氏はCESのカンファレンスにおいて「人々のつながりは充実感・幸福感や生産性イノベーションにつながる」という考えを披露し、技術革新の力で人々のつながりをスムーズなものにしていくということを、街のコンセプトとして語っています。
建築家でビャルケ・インゲルスというスーパースターがいるんだが、その彼が手がけるトヨタの都市プロジェクトのプレゼンが超凄いから、建築外の人たちも見るべき。
pic.twitter.com/S9dLKjlFkh— 後藤 連平@新刊好評発売中! (@remgoto) January 15, 2020
トヨタが自動運転車やロボットと共生する実証都市を建設へ。都市設計は、第2ワールドトレードセンターやグーグル新社屋を手掛けたBIGのビャルケ・インゲルスが担当します。https://t.co/3XTz2DpsrF pic.twitter.com/fBOLwUEWkl
— FASHIONSNAP.COM (@fashionsnap) January 7, 2020
東京ドーム15個分の東富士工場跡地を利用
ウーブン・シティは『静岡県裾野市にあるトヨタ東富士工場の跡地』に建造される計画となっており、その広さは東京ドーム15個分にも相当しています。
燃料電池、雨水ろ過システムといった、エネルギー供給に必要なインフラ設備は全て地下に設置され、地表の景観は非常にシンプルなものを目指しています。
配送も地下に網の目のように張り巡らされる配送網を利用し、AIを活用した完全自動システムに委ねることが計画されており、来るべきAI社会の実現に向けた実験と検証が行われます。
Woven City(ウーブン・シティ)
東富士(静岡県裾野市)工場跡地を利用インフラは燃料電池技術をフル活用
地下に燃料電池発電を行う施設を用意(政府や自治体でなく)
一企業が主導する街づくりは
今まで前例がないhttps://t.co/HsT2Bib7lK pic.twitter.com/Rj2c5f1kaM— Naoko Hazama (@warautokeru) March 24, 2020
2021年着工予定、完成は5年以内
トヨタ東富士工場は、2020年末に工場の閉鎖を予定しています。
それに伴い、ウーブン・シティの建造は2021年着工予定とされ、完成時期は未定とされながらも、およそ5年以内に居住できるようになると想定されています。
街作りには二酸化炭素の排出量と吸収量のバランスがとれる「カーボンニュートラル」な木材が利用される予定となっています。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラル (carbon neutral、炭素中立) は環境化学の用語で、直訳すればカーボンは炭素、ニュートラルは中立なので「環境中の炭素循環量に対して中立」となる。何かを生産したり、一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である、という概念。
引用:ウィキペディア
屋根には太陽光発電パネルを設置し、燃料電池による発電をサポートする仕組みも導入することで、環境との共存を継続し続けるサスティナビリティの重視を実現します。
Woven City(ウーブン・シティ)に住みたい!誰でも住めるの?
トヨタが建造する夢の街「ウーブン・シティ」は、どの程度の人数が住め、まだどんな人が住めるのでしょうか。
一般の方は残念ながらまだ住めない!当初は関係者2,000人から(将来的には募集あり、の見込み)
画像引用:Woven City Global
2021年からおよそ5年以内に建造される見込みのウーブン・シティの住民について、豊田章男トヨタ社長はCESのカンファレンスにおいて
「トヨタの従業員と家族、退職した夫婦、小売店舗、プロジェクトに参画する科学者、パートナー企業」
を建造当初の住民と想定し、約2,000人程度からスタートさせると宣言しています。
また、豊田章男トヨタ社長には段階的に人数を増加していくという構想もあり、同カンファレンスにおいて「プロジェクトに参画する事に関心がある方、将来の暮らしを改善したいと思われている方はどなたでも歓迎する予定」と、将来的には都市の規模を拡大していくことを明かしています。
TOYOTA Woven City、忖度なしでマジでヤバい。(僕の地元でもある)静岡の閉鎖予定工場を丸ごとコネクテッドシティにする計画。イーロン・マスクすらやれてないことを日本のトヨタが先駆けて発表したことに震える。何より街の設計はあのビャルケ・インゲルス、引っ越したい! pic.twitter.com/jeQKFqhwhV
— 明石ガクト ONE MEDIA (@gakuto_akashi) January 7, 2020
おはようございます
トヨタが実験都市、いわゆるコネクテッドシティを富士山の裾野に開発
AI、ロボット、最新のセキュリティに囲まれた生活✨
当初はトヨタ関係者が住人、いずれは一般から募るらしい…
住んでみたいな✩.*˚https://t.co/6Chz80m1Df @fashionpressnet— haco 🐘 (@hakobune3000) January 7, 2020
パートナー企業は募集中
画像引用:Woven City Global
カンファレンスのスピーチで建造当初の住民に数えられた「パートナー企業」は、現在ウーブン・シティのホームページにて募集が行われています。
ただし、あくまでプロジェクトに参加するパートナーとしての募集であり、一般入居者の募集は行われていません。
Woven City(ウーブンシティ)に対する海外の反応や日本人の評判は?
海外の口コミ・評判
『トヨタのWoven City』は新しいミルトンキーンズになるだろう』
※ミルトンキーンズ=ロンドンの北西にあるニュータウンで、テスラなどが自動運転の実証実験をしたりしていますね。
Toyota Woven City is gonna be the new Milton Keynes
— Melanie Empty-shops-ne$$ Corona Princess (@MeLadyFreshness) March 25, 2020
『トヨタが富士山の麓に水素を動力源とする集落を建設するだって?Woven Cityと呼ばれる?やれやれ、こりゃ驚いた!!』
Toyota are going to build a hydrogen powered settlement at the foot of Mount Fuji? Called Woven City? Good grief
— 𝔈𝔡𝔪𝔲𝔫𝔡 / YOKAI (@intercapillary) March 24, 2020
『かくかくしかじか・・何が起ころうとも、私はトヨタのWoven Cityに引っ越しするつもりだ』
When this is all said and done or whatever happens blah blah blah blah…
I’m moving to Toyota woven city https://t.co/F1jRFW5cfb— Stuart Daulman (@stu_what) March 24, 2020
『住みたい』
I want to live in Toyota Woven City
— Scott Stein (@jetscott) January 6, 2020
日本からの口コミ・評判
今回のCESでの発表され話題となったTOYOTA『WOVEN CITY』 。静岡の工場跡地の約70万平方メートルに自動運転車、サポートロボット、AIによる体調管理等を実際に2,000人が居住して行う実証実験。住みたい😳 #CES2020 pic.twitter.com/j1Je1uEfoN
— Shogo Numakura 沼倉正吾 (@ShogoNu) January 8, 2020
「楽しみ!」「ワクワクする」という声が多いです。
Toyota Woven Cityに東京の東側っぽい街並みが造られれば移住したい。おっさんが昼から駅前でストロングゼロをキメていたり、早朝から立ち飲み屋が開いていたり、京島っぽい入り組んだ感じの。
— lemonade_air (@lemonade_air) January 9, 2020
面白い意見ww
カッコいいだけではなく、まあ息抜きできるような娯楽施設も欲しいですよね。
この方は「赤羽」とかイメージされてるw??
TOYOTA Woven CityはIoT+Blockchainの実験にはとても適している気がします。
なんとか絡めないかな?— Knob Hirai (@knob_hirai) March 19, 2020
ブロックチェーン×WovenCityも興味深いですね。
トヨタもこんな発表しています。
>>「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」、ブロックチェーン技術の活用検討と外部連携を加速化
普段「日本ではイノベーションが起きない」と言っている人達が、トヨタのWoven Cityが上手くいかない理由をあげつらって批判しているのをみると、そういうのが積み重なってイノベーションが起きないことに自分で気づかないのだろうか、と思う。
「とりあえず批判する」という点のみ一貫性がある😂😂😂— 湯村 翼 Tsubasa Yumura (@yumu19) January 8, 2020
これはおっしゃる通りですね。
様々な反論意見なども出てくるでしょうが、技術と結果でハネつけて欲しいですね!
トヨタの実験都市の公式言語が英語だと聞いて驚いたので、トヨタ幹部のカフナー氏に「住人は英語ができないといけないのですか?日本人には重要な質問なので」とすぐ聞きました。彼は「ごめん、文書の公式言語に英語を使うだけで、住人は好きな言語を使えます」「英語のテストはないから心配しないで」 pic.twitter.com/k4Pxo6w04L
— Toshi Ogata (尾形 聡彦) (@ToshihikoOgata) January 7, 2020
公用語は好きな言語との事ですが、文書の公式言語は英語になるようですね。
トヨタのWoven Cityまとめ
まとめます。
- トヨタの新都市開発プロジェクト「コネクテッドシティ」のひとつとして、静岡県に「Woven City」を計画
- 2021年から5年で完成、当初はトヨタ関連者などで2000人居住予定。順々に一般人の居住も募集する見込み
- トヨタとNTTは資本提携。スマートシティプラットフォーム構想を立ち上げ、最新技術を駆使したデータプラットフォームを構築し、住民などの豊かな生活につなげていく
- 海外や日本でもおおむね好評。
引き続き情報を集めていきます!