水素社会

【来るの?来ないの?】水素エネルギー社会実現に向けてのロードマップやイメージは?メリット・デメリットも解説

水素社会のロードマップ・メリット・デメリット

二酸化炭素を発生させないクリーンなエネルギーとして、水素が注目されています。

様々な活動のエネルギーに水素を利用する「水素エネルギー社会」の実現に向け、現在日本は様々な取り組みを行っています。

水素エネルギー社会に向け日本がどんな取り組みを行っているか、そのロードマップについての解説と、水素エネルギー自体のメリット・デメリットについて紹介します。

この記事でわかること

経済産業省が公表した水素エネルギー導入に向けた3つのフェーズ
水素エネルギーのメリット・デメリット
民間で使える水素エネルギー

結論

日本国内では経済産業省が中心となって水素エネルギーに取り組んでおり、導入に向けた3つのフェーズを公表しています。

  1. フェーズ1:水素利用の飛躍的拡大
  2. フェーズ2:水素発電の本格化・大規模水素供給システムの確立
  3. フェーズ3:トータル的なCO2フリー水素供給システムの確立

水素エネルギーには二酸化炭素を発生させない、製造方法が豊富といったメリットがありますが、反面貯蔵・輸送コストが高く、普及に時間がかかるといったデメリットも存在します。

現時点では課題も多い水素エネルギーですが、よりクリーンなエネルギーの導入を目指し、3つのフェーズを通じ水素製造・利用技術の開発、海外の水素生産国との連携強化を進め、クリーンな水素エネルギーの導入を目指しています。

経産省が公表した水素エネルギー導入に向けた3つのフェーズ

日本国内においては、経済産業省が水素エネルギーの活用を促進しています。

経済産業省では将来的な水素エネルギー社会の実現に向け、3つのフェーズに沿った水素エネルギーの導入を進めていくことを公表しています。

フェーズ1:水素利用の飛躍的拡大

水素エネルギー画像引用:経済産業省

水素エネルギーの導入段階であるフェーズ1は、水素エネルギーを社会へ「本格的に実装」していくことを目標としています。

2009年に発売が開始された家庭用燃料電池発電機「エネファーム」が先駆けで、2017年には業務・産業用燃料電池の市場投入が行われ、水素エネルギーの利用拡大が進んでいます。

2014年12月には、トヨタ自動車が燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」を発売しており、2020年度にはMIRAIの第二世代の販売が発表されています。

【関連記事】水素で走る燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」とは?価格はいくら?
【関連記事】トヨタ水素・燃料電池自動車MIRAI(ミライ)の内装まとめ!

燃料電池自動車は、現時点においては一般的なガソリン車と同程度の燃料(水素補給)代が必要ですが、今後ハイブリッド車と同等以下の燃料代となるよう水素価格を引き下げ、さらに2025年頃には、同車格のハイブリット車に近い車両価格実現を目指しています。

フェーズ2:水素発電の本格導入/大規模な水素供給システムの確立

水素エネルギー画像引用:経済産業省

フェーズ2は水素エネルギーをさらに発展させていく動きを予定しています。

2020年代半ばを目標に海外の水素社会へ取り組んでいる国との協力関係を強固にし、安価な水素の輸入を実現させていく見込みです。

また商業ベースでの水素の国内流通を拡大させ、水素エネルギーの社会への定着を目指していますね。

同時に水素の製造力の向上にも取り組み、海外での未利用エネルギーを活用した水素の製造を強化し、水素をよりクリーンなエネルギーにしていきます。

水素ステーションについても、2020年初旬時点では余り普及しているとはいえず、設置コストも数億円かかるため、なかなか取り組めるエネルギー企業も多くないのが実態です。

水素ステーションで水素を充填している様子を撮ってきましたので参考まで。
(私自身が保有しているMIRAIへ補給してます!@芝公園水素ステーション)

ロードマップにも記載ありますが、「低廉(設置コストが安い)水素ステーションの開発」が必要ですね。

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フェーズ3:トータルでのCO²フリー水素供給システムの確立

2040年頃を目標に、最終段階であるフェーズ3へ移行していきます。
フェーズ2の所で掲載したスケジュール図の下部あたりにフェーズ3についての記載がありますね。

二酸化炭素を発生させない方法で水素を製造し、CO²フリーなエネルギーとしての水素を確立させます。

輸送・貯蔵の技術も向上させ、より低コストで大容量の水素貯蔵を実現し、どこででも水素エネルギーを活用できるよう、拡大した利用網により水素エネルギーを一般的なものに定着させていきます。

水素エネルギーのメリット・デメリット

クリーンで枯渇のないエネルギーである水素を利用することで、どんなメリットとでメリットが発生するのでしょうか。

水素エネルギーのメリット

水素エネルギー画像引用:資源エネルギー庁

水素エネルギーの活用には、次のようなメリットがあります。

様々な原料から生成

水素は様々な素材や気体・液体に含まれており、多くの原料から生成することができます。

生成方法も様々で、苛性ソーダや鉄鋼といった工業用品の生産時に副生成物として生まれるほか、化石燃料に水蒸気を反応させ、純度の高い水素を生み出すこともできます。

利用時に二酸化炭素を排出しない

水素をエネルギーとして利用するには、酸素と反応させることで電気を生み出します。その際には水のみを排出し、二酸化炭素などの温暖化ガスは一切排出しません。

貯蔵・輸送が可能

水素は空気の14分の1の重さしかない非常に軽い気体ですが、貯蔵・輸送の方法は豊富に存在します。

一般的には気体のまま高圧で圧縮し、水素タンク内で保存します。

-253度まで冷却すれば液体窒素化するため、液体として保存することも可能です。

そのほか、金属に反応しやすい性質を利用し金属吸着した状態で保存、また化学反応を起こさせて他の物質として保存し、利用時に再度水素のみを取り出すといった方法も確立されています。

水素エネルギーのデメリット

水素エネルギー画像引用:日本経済新聞

反対に水素エネルギーを活用することで、以下のようなデメリットが考えられます。

普及に時間がかかる

水素エネルギーはこれまでに無い形のエネルギーのため、利用するためには新たな設備を導入する必要があります。

インフラとして水素を浸透させるためには、現在よりも水素を身近に、そして安価に利用できるようにする必要があるため、その実現には多くの施設の建造、そしてそれを実現するための技術開発に、長い時間と多額のコストが必要です。

貯蔵・輸送に費用がかかる

水素の貯蔵・輸送技術は現在も研究が進められる若い技術であり、現状では石油や天然ガスに比べて高いコストが必要とされています。

金属を浸食する性質があることから、非常に高額な特殊ステンレス鋼、アルミニウム合金といった材質の高圧水素タンクが必要であり、水素エネルギーの拡大の足かせの一つとなっています。

引火の危険を伴う

水素は世界で最も燃えやすく、引火の危険性が高い気体です。

貯蔵・輸送の技術が向上しているとはいえ、さらに安全性を高めていくことが求められています。

なお、燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」は約5kgの水素を保存できる水素タンクを積んでいますが、様々なテストを経て作り上げられたシステムにより、時速80kmで追突されても燃料タンクはびくともせず、また炎上時にも爆発しないような仕組みになっています。

民間で使える水素エネルギー・燃料電池

現在の水素エネルギーの導入段階はフェーズ1であり、民間での水素エネルギー利用が徐々に進められています。

現在一般の家庭で利用できる水素エネルギーはどのようなものがあるのでしょうか。

家庭用燃料電池給湯器「エネファーム」

燃料電池エネファーム画像引用:東京ガス

家庭用の燃料電池発電システムとして、2008年から「エネファーム」が発売されています。

都市ガスや灯油などから燃料となる水素を取り出し、空気中の酸素と反応させることで家庭で利用できる電気を発電する仕組みです。

自宅で発電するため、送電時のロスがほぼ無く、非常に高いエネルギー効率が期待されています。

エネファームの口コミ・評判※助成金(補助金)や騒音?低周波?

エネファームも設置への補助金制度があります。
活用されている方も多いようです。

少々、旧式の型などは騒音問題や低周波が気になるとの口コミも見受けられるので、設置業者などに、最新型の状況などを良く確認されることをおすすめします。

燃料電池自動車「ミライ」「クラリティ」

トヨタ ミライ mirai画像引用:トヨタ公式サイト

ガソリンの代わりに水素を充填し、車内で発電した電気を使って走行する車が燃料電池自動車です。

現在日本国内ではトヨタの「MIRAI(ミライ)」、ホンダの「クラリティFULL CELL」の2車種が販売されています。

MIRAIはオリンピックの選手村でも使われる予定ですね。

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