水素燃料電池自動車

【アメリカ・中国・ヨーロッパ】水素・燃料電池自動車の海外での評判・口コミ・実績

水素燃料電池自動車の海外評判・実績

日本では環境にやさしいエネルギー源として、水素エネルギーへの取り組みを強化しています。

水素をエネルギー源として走行する水素・燃料電池自動車の普及にも力を入れており、国内には次々と水素ステーションが増設されています。

世界的にも注目を集める水素エネルギーですが、海外ではどのような取り組みをしているのでしょうか。いくつかの代表的な事例を見てみましょう。

この記事でわかること
  1. アメリカはカリフォルニア中心に水素エネルギーを導入
  2. 中国は商用車分野での燃料電池自動車(FCV)台数が世界一
  3. ヨーロッパでは電気自動車が高評価だが、燃料電池開発へも着手
海外事例のサマリ

アメリカはカリフォルニア州を中心に、水素ステーションの建設や燃料電池自動車の普及といった水素エネルギー導入を進めています。

燃料電池自動車の台数は日本の約2倍となっており、今後爆発的な水素ステーションの増加が見込まれています。

中国はバス・トラックといった商用車部門での燃料電池自動車の導入が進み、世界一の普及率を誇ります。

全国で続々とFCVバスが走り出しており、2030年には全国に1,000か所の水素ステーション設置を計画しています。

世界的な燃料電池自動車への取り組みとは逆行し、ヨーロッパでは電気自動車(EV)導入が促進されています。

ドイツでは電気自動車購入のための補助金が期限延長・範囲拡大され、さらに電気自動車の普及が進むと見られます。

一方でボッシュ社は、燃料電池自動車への参入を発表しました。
2022年には量産体制に入る体制を整え、世界の燃料電池自動車市場へ打って出る構えを見せています。

アメリカはカリフォルニアに集中

アメリカでは、全国に先駆けカリフォルニア州を中心に水素エネルギーの導入を進めています。

31か所の水素ステーション、2020年には62か所に増加

カルフォルニア 水素ステーション画像引用:2019 Annual Evaluation of Fuel Cell Electric Vehicle Deployment & Hydrogen Fuel Station Network Development

カリフォルニア州では2045年までに州内で使用される電力を全て、二酸化炭素などの温室効果ガスがでないエネルギーで賄うようにする法案を2018年に可決しました。

それに伴い、カリフォルニア州燃料電池パートナーシップ(CaFCP)は2030年までに、州内に水素ステーションを1,000か所まで増設すると発表しています。

2019年4月現在、州内の商用水素ステーションは39か所にとどまっています。
しかしすでに補助金が確定し、稼働が見込まれる水素ステーションの数を含めると62か所まで増加しています。

また日本で水素ステーションの運営に深く携わっている大手ガスメーカー・岩谷産業が同州の水素ステーション運営に乗り出し、ドイツのメッサーグループが運営していた4か所のステーションを買収しました。

岩谷産業は、日本国内の計画中も含む136か所の水素ステーションのうち32か所の運営に携わる、水素ステーション経営のトップランナーといえる企業です。

岩谷産業のCM↓

岩谷産業の参入により、同州の水素ステーション事業は一気に加速していくことが予想されています。

燃料電池自動車台数は日本の約2倍

カルフォルニア州のイメージカリフォルニア州では水素エネルギー導入に伴い、燃料電池自動車の導入にも力を入れています。

2019年4月1日時点の燃料電池自動車販売台数は6,315台と、日本の2,824台(2018年9月)の約2倍となっています。

日本全体の面積は約37.8万平方キロメートル、カリフォルニア州は約42.4万平方キロメートルと、同程度の面積であることから、日本に比べカリフォルニア州は燃料電池自動車が約2倍の密度で走行していることがわかります。

世界的な水素大国を目指す中国

中国もまた、水素エネルギーへの取り組みを強化し、燃料電池自動車の積極的な導入を進めています。

商用車分野でトップクラス

中国 FCVバス画像引用:AFP BB NEWS

中国の燃料電池自動車は、バスやトラックといった商用車分野に注力しています。

2016年から2019年にかけて、中国国内では6,178台の燃料電池自動車が販売されていますが、これらのほとんどは商用車です。

2019年7月29日、中国の自動車メーカー「北京億華通科技(シノハイテック)」の燃料電池発電機を搭載した20台のFCVバスが、中国西部の都市・成都の町で走行を始めています。

さらに山東省(Shandong)、濰坊市(Weifang)、浙江省(Zhejiang)、嘉善県(Jiashan)へと、FCVバスが続々と中国全土で走行を始めています。

2030年には1,000か所の水素ステーション設置を目標

中国のイメージ2019年末時点における、中国全土での水素ステーション数は52か所となっています。

水素ステーション数は2020年には100まで伸ばす計画となっており、さらに2025年には300か所、2030年には1,000か所まで増加させる計画をとなっています。

それに伴い燃料電池自動車の普及も進められています。
地方の電気自動車向けの購入補助金を燃料電池自動車に切り替える動きがあります。

中央政府による個人向けの燃料電池自動車の後押しもある中、2030年には燃料電池自動車の生産台数は200万台を超え、中国における自動車生産台数の5%に達するという見込みが建てられています。

ヨーロッパは電気自動車に移行

対してヨーロッパは、電気自動車(EV)への移行を強める動きを見せています。

ドイツは補助金の延長・拡大

フォルクスワーゲン ID.3画像引用:朝日新聞デジタル

ドイツでは低排出ガス車の購入を促進する新車購入補助金を支給していますが、その期間を延長・対象の拡大を発表しました。

2019年5月末に2020年末まで期限を延長するとしていましたが、同11月に早くも2025年末まで延長すると発表したのです。

補助金額も引き上げられ、4,000ユーロとされていた補助金が、リストに掲載されている価格に応じて5,000~6,000ユーロに引き上げられています

また現在約2万か所の充電スタンドに加え、今後2年間で5万か所の公共スタンドを追加設置する方針を固め、電気自動車に関するインフラ整備を強力に進める姿勢を見せています。

『電気自動車の分野での助成金の需要は2019年に大幅に増加しました。低排出ガス車は、ますます多くの市民にとって具体的な代替手段になるでしょう』

『電気自動車に対するより高い補助金が施行されます。新しい補助金制度は、比較的新しい中古車にも初めて適用されます。業界はそれまで購入をためらっていた顧客層の後押しとなることを期待しています』

燃料電池自動車と電気自動車の違いはこちらの記事をご参考に!

【参考記事】燃料電池自動車と電気自動車の違いとは?

温室効果ガス削減を強く進めるためEV車を後押し

2015年に「パリ協定」が締結され、世界各国が温室効果ガスの削減に向け積極的に取り組むことになりました。

「パリ協定」とは?

パリ協定(パリきょうてい、英: Paris Agreement)は、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)が開催されたパリにて、2015年12月12日に採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(合意)。

引用:Wikipedia

長期的に温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化を防ぐことを目的としたこの取り決めに対し、ヨーロッパ諸国は積極的な取り組み姿勢を見せ、自動車の面でも強い施策を打ち出しています。

電気自動車の先進国であるノルウェーでは、2025年以降は電気自動車のみ販売を許可する方針を打ち出し、それと同時に電気自動車購入時にかかる税金の免除を進めています。

またガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を打ち出す国もあり、オランダは2025年まで、ドイツは2030年まで、フランスは2035年までに化石燃料車の販売を取りやめる方針を決定し、それに伴い電気自動車にかかる税金の大幅な減額・免除を進めています。

ボッシュ社が燃料電池自動車へ参入

BOSCH 燃料電池画像引用:BOSCH公式サイト

ドイツに限らず、ヨーロッパ全体で高い評価を受けている電気自動車ですが、そんな中ドイツの自動車メーカー・ボッシュ社が1億ユーロ(約120億円)を投資し、燃料電池自動車開発に乗り出すことを発表しました。

水素エネルギーを推進する世界的な情勢に後押しされたものとみられ、2022年には量産体制に入る見込みとされています。

『Powercellは燃料電池の数百万の注文を受けました』

『#クレッチマン首相がシュトゥットガルトのフォイヤーバッハにあるボッシュを訪問。内燃エンジン、バッテリー電気、および水素燃料電池自動車の新技術を見学しました。』

『水素はまだ高価なものですが、中期的にはバッテリーの代替品となるでしょう。ボッシュは燃料電池を大量生産したいと考えています。市場投入は遅くとも2022年に計画されており、2030年までにグループにとって10億ドル規模のビジネスになるはずです。』

燃料電池自動車のメリット・デメリットや、ガソリン車との比較はこちらの記事で詳しく解説しています!

【参考記事】水素で走る燃料電池自動車のメリット・デメリット・評判まとめ

日本の水素ステーション整備状況については↓

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